vol.37 ココがすごいよスタッフさん(教えるのが上手い人の好例)
こんにちは。
焙煎を数回やってみて感想をば。
大前提としてお店のスタッフさんの教え方が非常に上手い、ということが大きいです。
教え方のうまい人に共通する点は、
1、観察力がある
2、待つことができる(相手を)
3、言葉を絞って話す(一度に複数のダメ出しをしない)
ある程度自由にさせつつ、キチンとこちらの動きを観察して、ポイントを絞ってアドバイスしているというのはアドバイスを受ける側としても良く伝わってくるところで、思考の幅が狭く深いタイプの僕にとっては非常にありがたいです。
さり気ないところでポツポツと試金石のようにアドバイスをしてくれるので、結果として大きな事故もなく、前回の失敗も学びに活きてくるような扱い方をしている辺りが本当に尊敬します。こういう導線の引き方をサラリとできる人、超カッコいいです。
以下いただいた言葉。
傍から見ていてなんか概ね大丈夫そう。
見るべきところを見ている
前のデータを踏まえている
あまり大きく逸れることがない
いきなり色々いじくってない
味は(ざっくり)採れているようだ
とのこと。もちろんプロのラインから見れば至らないことは多々あるでしょうし、仮に仕事としてやる場合、接客など複数の業務も絡んでくるのでその辺も加味すると全然そんな余裕はないです。
それでも、次に繋がる自信にはなりますよね。
5回目で言われて「あ、そうなんだ」と思ったのが
「よくこういうイメージで、みたいなことを言っているけれど、そういうのはあった方が良い、イメージ(理想値)があればそれは必ずできるから」
という言葉でした。
何気に書いていて、今思ったんですが、こういうのって、相手に対してある程度任せるというスタンスが無いと出てこない発想ではないですかね。放任ではなく遠くでもキチンと見てるよというメッセージで、言われる方も安心感があります。
焙煎をする時、というかモノを作ることの良い点は、イメージを具現化できることだと個人的に思います。
珈琲の世界では「味ことば」というカッピング評価のためのキーワードがあるのですが、それよりも自分の持っている味に対するイメージを追って行った方が上達は早い、とのことです。
僕の場合「なんか枇杷酒みたいな揮発性の香りがする」とか言ってました。枇杷酒は飲み物ではなく自家製の薬ですが、要は何かしらの味や香りに関する記憶との紐付けをその人なりにできてればよろしい、ということらしいです。
自分の採ったデータ(プロファイル)とイメージの二つを参考にしてできるというのは、ハマる人はハマる分野だなと思いました。
他の人の出した数字でも、追うとそれに対してのイメージもできるので、何となくどういう風に作ろうとしたのか、みたいな意図が見えるのも面白い点です。
そういう意味ではアーティスティックな何かというより、実践的でデザイン志向な感じがします。
今日はこの辺で。
vol.36 焙煎の経過報告
こんにちは。
随分と間が空いてしまったんですが、継続して焙煎してます。
1回目から3回目まではレクチャーを受けながら、のはずだったのですが、特に危なっかしいところがなかったのか、最低限の焙煎機の使い方を教わってからは安定の放置プレイ気味でした。
でも僕にとってはとてもありがたかったです。たぶんアレダメコレダメだと窮屈に感じてたでしょうから。
安全面に関しては目を配ってもらって、あとはお好きに、聞きたいことがあれば応えるよ、というスタンスでやってもらってました。
うまい具合に自分のモチベーションを確保してもらえたことが本当にありがたかったです。
なので、前の回で採ったデータと出来上がったモノを参考にして次はこうしよう、というサイクルが早い段階でできたので修正しやすく、だいたいこのラインに収まればうまくいきそうだというアタリを早い段階でつけることができました。
その結果、3回目、更にそれを踏まえての4回目は良い具合に出来ていた、という評価でした。
ここまでは何となく自分の好みを基準に焙煎していたのも大きな要因だったのかなと振り返って思います。
で、5回目なんですが、それまでは自分の好みを基準にしていたので、せっかくだからその店の味に近づけたいというつもりで臨んだのですが、結果からいうと焙煎そのものを若干失敗してしまいました。
具体的に言うと、焙煎を終えるタイミングが早かったり、焙煎に時間が掛かり過ぎて味が抜けてしまったり、などです。
一番の大きな原因は前回までのデータを参考にしていなかったこと、です。
焙煎を始める前に、ちらっと見た数字が5キロ釜での数字だったのですが、その数字に引っ張られた上にあんまりモノ観てない状態になってしまいました。あ、モノ観てないのも良くないです。いや正確に言うとモノは観てたけど、それより遅く出すべきだった、です。
結果、あまり焙煎も進んでない状態で窯から出す、という事態に。
思わず「あっ」て言いながら出しました。
このままでは生焼けに近いです、困った。
ここでスタッフさんから提案が
ス:「このままだと飲めないんで、せめて焙煎し直しましょう」
僕:「えっ」
ス:「まったく飲めないよりマシです」
僕:「なるほど」
ということでスタッフさんの指示のもと、指定する温度に上げてダンパーを調整して再投入。秘儀☆ダブル焙煎(実際に意図してやるお店もあるらしいです)
そして目安のところで「出しましょう」と言われて出しました。
見た目はできているけど、味はどうでしょうか。
とりあえず脇に置いて、そのまま2バッチ目。
1回目のような失敗はなく、とりあえず目標のところで窯から出してできました。
せっかくなのでカッピングしてみました。
僕:「なんか足んない」
ス:「んーやっぱり味が抜けてますね」
もう一つの方も
僕:「最初のものよりはできてますね」
ス:「できてますけど、本来持ってる味からするとやはり抜けてますね」
2バッチ目も時間が掛かってしまい、その分味が抜けてしまったようです。
これには焙煎機の大きさの違いと、その焙煎機自体が持っている「癖」の2つが関わっています。
機械いじり好きな人や料理好きな人は何となくイメージしやすいと思うのですが、大きな機械の方が単純にエネルギー効率の良いものって多いですよね。
で、小さいものほど効率がよろしくない。
あと、何かとちょっとした操作でピーキーになりやすい。
僕が練習に使っていた焙煎機は小型のもので、以上のような特性を持っています。
更にロット、というか単に使い込んでいるからなのか、同じマシンでも妙に熱やら何やらが漏れやすいようになっているようで。(店内に同じものが二台あって一台はそうでもないらしい)
つまり、最適解として「味が抜ける前に焙煎し切る!」ということらしいです。
なんというテクニカルなお題なんでしょう。
ともあれ、今回失敗(といっても飲めるものではある)したおかげでできたこと、分かったこともあったので、個人的には良かったです。
その他、書きたいことがまだまだタンマリあるのですが、別エントリにしときます。
今回はこの辺で。
vol.35 「いつかさん」と、いつか観た机
※「いつかさん」の看板
どうもこんにちは。
某月某日、『いつか珈琲』に行ってきました。
きっかけはたまたまですが、何となく、今までの自分が触れてこなかった世界に触れてみたくなって足を運びました。それは焙煎の世界です。
僕にとって焙煎は話を聞く限りでは、何となく「敷居の高い世界」でした。が、話を聞くだけではなくてそこに行って体験したい。というか、そもそも何かしらの「世界」=場所が持つ雰囲気って、その場所ごとに独特の空気感が流れているものですよね。
加えてそれまで自分が経験したことや知ったことをもう一度丁寧におさらいしたいという理由もありました。
初めて行った時、すごい緊張して変なテンションでお店に入ったことを覚えています。
豆を選んでお会計をしながらどう言おうか頭がグルグル回っていたのですが、この時キャッシャー近くにあった珈琲の袋とかを納めている「木の机」を見た時に、すごい既視感があったんですね。
それは今は無き実家にあったものと同じ形の、両サイドから長い板を引き出して、机になる部分を降ろして使うような、古い机だったんです。
(あーおんなじような机だ、懐かしいな)
それを見た途端ふわっと、昔の家の記憶が蘇ってきました。「ウラの家」と呼んでいた母屋にある少し薄暗い小さな部屋。そこにある同じ机、小さかった自分がそこでどういう風に毎日過ごしていたか。すっかり忘れていた匂いや色合い、埃の具合まで鮮明に思い出せました。
(あーここはそういう机があるお店なんだなぁ)
と思って、安堵感があったのを覚えています。
それで、元気ハツラツな若者が目の前で手早く明るく元気よく接客してくれて、すごいエネルギーを感じてコミュ症全開になりなそうなくらいかなり危うい感じだったのに、突然踵をクルッと返して店主さんに向かって行って「ば、焙煎ってできるんですか?」とウルトラ不器用な直球で伝えました。コミュニケーション的には完全にボークボールを投げました笑。
ですが、店主さんは少し眉を上げただけで、「できますよ」と落ち着いたお返事をいただきました。すごいホッとしました。
「また来ます、ありがとうございました」と言って、この日は遅いこともあってそのまま帰ることにしました。これが僕の「いつか」さんとの出会いです。
今日はこの辺で。
vol.34 ここはコーヒーの三丁目
こんにちは。
ここに行ってみようと思ってお店に入ることもありますが、フラフラ歩くのが性分なようで、だいたい彷徨ってます。徘徊ではアリマセン。
彷徨ってたらgo back to 昭和、ということで、今回は「喫茶店」です。
駒沢通り沿いの「三丁目のコーヒー屋」。中目黒の三丁目です。
店内は落ち着いた照明、座りやすい椅子、棚には漫画と、座った瞬間に根っこが生えてくるスタイルです。
「うしおととら」とか「はじめの一歩」とか「三国志」とか、果ては「のらくろ」とか置いてます。ええ、ありますよ、「かりあげクン」。
あ、少女コミックものもあります。
読んだことあっても「あれ?あの話どの巻だっけ?」とか思っちゃいますねー、手に取っちゃいますねー、そして読んじゃいますねー、続き気になりますねー、読んじゃいまs(re
夕飯の食材「魚のアラ」が家に無かったら危うく無限ループにハマるところでした……。
メニューも「浅炒り」ではなく「アメリカン」、「グァテマラ」ではなく「ガテマラ」表記だったりするのもポイントです。
帰りしな、お店の人にどのくらいやってるんですかと聞くと、
「38年です」
と言われました。
モノの本やらwikiさんにも1970~80年代は個人店の喫茶店が流行った年、とされているので、その頃ですね。
ご近所さんの憩いの場になっているようで、皆さん思い思いに過ごされていました。
ちなみに下ると「祐天寺」、上ると「ブルーボトル」さんがあります。
「サード・ウェーブ」と「三丁目」で「祐天寺」と覚えましょう。
時代順になっているので実に分かりやすい。
「祐天寺」の時代が開けていますね。
ホップ・ステップ・ジャンプです。
今日はこの辺で。
vol.33 漢(おとこ)の!
コーヒー豆にも色々な焙煎やドリップに”系統”というものがある。「コーノ」といえばいくつかのお店はあるけれど、僕の中では「cafe reels」が真っ先に思いつく。
豊島区雑司ヶ谷 副都心線 鬼子母神前近くにあり、「西洋釣具珈琲店」と書いてある通り、リールもディスプレイしてある。そのおかげか、店内はちょっとアウトドアな雰囲気がある。
サイフォンで提供するのがスタンダードなようだが、機会があればネルでのハンドドリップも飲ませていただけるようで、僕は未経験の楽しみとしてとっている。
ケーキなどのスイーツは奥さんが作っているようで、マスターのパワフルな雰囲気のするコーヒーに上品でオシャレなスイーツの組み合わせが良い。聞くところによると奥さんはル・コルドンブルーを卒業したらしい。ぜひ一度食べていただきたい。
さて、こちらのマスター、ガタイも良く、迫力のあるせいか、なんというか男が憧れる「趣味だねぇ」というキーワードがどことなくしっくりくる。釣り具はもちろんのこと、車やバイク、ミリタリー物にも造詣が深いようで、常連さんらしき方との会話の端々からそんな風なことを感じていたのだ。
「あの車は~~で~で」などという話を聞いてしまうと、ついムズムズしてくるが、その道はより深淵なるものの道であることを経験上良く知っているので、カップを持つ手にグッと力を入れてしまった。
門前の徒にはしかるべき作法というものがあるものだが、あえてそこを外して試しにウッカリ「リボルバーは弾詰まりがないのが良いんだよね(ドヤァ)」とか中二よろしく言ってみると良い、きっと十字砲火の洗礼(いわゆる愛の鞭)を浴びるだろう、そして行きつく先は「フルメタルジャケット」のごとき男の世界、かもしれない。
vol.32 JICA(ジャイカ)じゃい!
どうもこんにちは。
JICAの10周年設立イベントに行ってきました。
いろいろとエスニックな雰囲気が漂う中、各団体の活動を見ていると、
「フィリピン コーヒーの森づくり事業」なるものが。
丁度、活動報告中だったので、聞いてきました。
フィリピンに限らず、コーヒーベルトに掛かっている地域ではコーヒーは割と生えていて、住んでる人が個人で採って焙煎して飲むという習慣はあったようです。が、個人で消費していたものに関してはその品質は現在のメジャーどころに比べると低いです。しかし、国内で流通していてそれなりに消費されているようで。(9.5万tだそうです。ちなみにブラジルが290万tでトップです。)
で、フィリピンでは大規模伐採や鉱山開発、焼畑などにより森林減少した地域を、森林農法によるコーヒー栽培をすることで森林再生と収入向上の両方をクリアしようという試みがなされているとのことです。
質問タイムがあったので、品質向上は何を基準にするのか伺ったところSCAAのカッピング資格を持つ人による協力の下、品質向上を目指すとのことでした。
丁度、粉で売られていたので買って飲んでみました。品質的にはまだまだこれからですが、こうした取り組みが実って、美味しいコーヒーが増えるのが楽しみです。
今すでにある美味しいものを見つけるのも素敵なことですが、これからのものが育っていくのを見守るのも素敵なことではないでしょうか。
と、同時に今流通している普通のコーヒーでさえ、どれだけお手頃で美味しいのかを再確認しました。
帰りしな、エスニックど真ん中のカレーを食べて、各ブースを見回って何気に楽しんできました。すげーなJICA。
vol.31 中炒り譚
こんにちは。
ようやく九月に入って、何となく落ち着けるようになってきました。
最近の雨のおかげで気温も下がり、何となく空気感的に秋めいてきましたね。
それもそのはず旧暦的には秋の季節なわけでして。
というわけで、前回のtortoise coffeeさんとこのブラジル(ウォッシュド)をなんとなく淹れてみると、これがドンピシャで「あ、良い感じ」ってとこにハマるんですね。
やはり自分の中で中炒りはコアなイメージだなと思うわけです。
思えば中学の3年生くらいだったでしょうか、当時通っていた個人塾のセンセが淹れてくれた一杯に触発されて、僕の中でのファーストインパクトとなったわけです。
世間的にはスターバックスが出来た頃なのでセカンドインパクトですけどね。
よくよく思い返すとその頃から自分で淹れてました、もっとも当時は市販の粉で大して気を使うこともなく淹れておったわけなんですが。飲み慣れていないからこそ、目新しさに対する感動は大きいわけです。
話を戻しましょう。
さて、中炒りってやっぱ真ん中で、浅炒りと深炒りの両方を少しずつ感じれると思います、そこが良い。
あとやっぱり飲む環境が大きくて、気候が落ち着い時期に飲むと安心します。
そしてブラジルはブレンドのベースで広く使われることも多く、個性がすんごい強いわけでもないし、価格もめちゃくちゃ高いわけでもない。さりとて存在感がないわけでないという「いぶし銀」ぶり。
ゆえにブレンドのベースになりやすい縁の下の力持ち、それだけ普遍的で「コーヒーってこういうイメージだよね」という部分にヒットしやすいんではないでしょうか、実に素晴らしい。
といってもtoroiseさんとこのブラジル豆、サイズも大きくて焙煎した感じも綺麗なんですよね、良い仕事しててホント素敵過ぎです。
長野は上田近辺にお立ち寄りの際は是非行ってみてください。