トリしらべぇ。

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vol.2 コーヒーとイギリスのお話

どうもみなさんこんにちは。

 

前回のイベントにあたり、少しコーヒーとイギリスの関係について調べてみました。

 

 コーヒーはイギリスでどういう位置づけなんだろうかと調べると、紅茶に負けず劣らず飲まれていたようです。歴史を紐解けば、16世紀後半はヨーロッパ諸国と同じように主に薬として認知されていたためにマイナーであったものが、貴族や上流階級が飲むにつれ広がったり。17世紀に入ると、紅茶を出す店より早く喫茶店ができていたり(イギリスでは喫茶店は当時カフェという名前ではなく、コーヒーハウスと呼ばれていたそうです)。はたまた働いてる人がお酒を飲んで仕事するもんだから事故が増えるという「労働者の飲酒問題」も、代わりにコーヒーを飲む習慣が広まるようになることで、その解決に一役買ったらしいです。

 当時の喫茶店といえば普通のご近所さんが日常的に通うものから、特定の話題を持つ人の集まる情報交換の場までいろいろ。特定の、とは政治経済・新聞出版・文化芸術などですね。その後サロンやクラブへと特殊化するわけですが、以上のようにさまざまな人や情報が行き交う重要な役割も担っていたようです。このようなことから1ペニーあればいろいろ知れるので、ペニー大学なんて比喩も。ピーク時はロンドンだけで約3000店舗もお店ができていたらしいです。現代からみてもスゴイですね。

 

 当時そんなに流行ったのに、というか流行ったからこそ、イギリスでは、コーヒーはその主役の座を紅茶に奪われることになります。奢れるものは久しからず。

 経済的な面では、当時イギリスは植民地でのコーヒー栽培を試みるも、フランス、オランダに後れを取り敗北。また、イギリス東インド会社はフランス東インド会社との争いに勝ち、インドに拠点を置いたために、コーヒーよりお茶!となったようです。

文化的な面では、コーヒーハウスは男の社交場と化していたため、そこに入り浸る夫たちに母ちゃんたちが怒りの声を上げたりも!?。女性によって書かれたかどうかは定かではありませんがこんな内容のパンフレットがあったそうです。

 簡単にいうとコーヒーは女の身体に良くない!ということですね。このパンフにはさらに、男達がコーヒーのせいで無意味なおしゃべりに没頭し、帰ると静かに寝てしまう。コーヒーは性的な興奮ではなく精神的な興奮をもたらすことで、男たちを不能にしてしまう!とまで書かれていたそうです…「不能」の2文字が迫力ありますが、出生率や乳幼児の死亡リスクも今より高かったり、単純に子どもが多いことを良しとする家庭もあったのではと想像すると、夜の営みも今より切実だったのかもしれません。母ちゃん堪忍やで~。もっといえば、子どもの世話も少しでも夫が受け持っていたこともあり得るでしょうから、そうした意味でも家にいないと困るわけですね。使用人雇う家なんて中流以上でしょうから。もっとも、コーヒーハウスもその後パブなどの居酒屋に鞍替えし、男たちは自分の場を確保していくわけですが…いたちごっこ。

 

 また、イギリスではフランスほど焙煎や飲み方のバリエーションが広がらず、大量焙煎大量消費路線、挽いた粉をお湯に浸す「浸出法」がメインで質もイマイチであった(いわゆるダッチコーヒー)のに対して、紅茶は加工後の質の低下が少ないこと、抽出の容易さも相まって量り売りで家庭用に普及、女性受けしそうなカフェなどのオシャレで華やかな雰囲気のモデルケースとともに店が登場しました。極めつけは英国王室もポルトガルから嫁入りしたキャサリン王妃からアン女王に至るまで紅茶推しで、ロイヤルワラント(いわゆる英国王室御用達の証)で有名店には箔が付き、かくして、あっという間にイギリスは紅茶!というイメージの先駆けとなったのでありました。

 

見方を変えれば女性が一国の文化を作り上げた側面もあったり、汝侮るなかれ。