トリしらべぇ。

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vol.52 熊野・高野山巡り(その3 那智エリア)

こんにちは

 

前回の続きです。

 

お参りして、戻って新宮の駅に着いた時には14時近くになっていました。新宮から電車かバスで大門坂バス停か那智駅まで行くのですが、丁度バスの時間にはまだ30分くらい時間があります。電車の方が那智に着くのは早かったので、そのまま20分くらいの便で那智駅へ。駅近くの補陀洛山寺もお参りできるかな、という腹積もりでした。

 

しかし、那智駅に着いたのが14時40分くらい。那智大社周辺を歩くとなると2時間半くらいかかるようです。しかもバスの便まで時間がかなりある上に、徒歩だと1時間くらいかかって那智大社の入口である大門坂に着くことになります。なので、お寺は飛ばして、かつ仕方なくタクシーに乗ることにしました…。ここで運転手さんから衝撃の事実「大雨の影響で特急とか急行はないからね!」

 

ガーン!この日止まる予定の紀伊田辺駅までは鈍行だと2時間30くらいかかります(笑)

 

さて、10分しないうちに大門坂に着いて、大きな夫婦杉を抜け、濡れた石畳に転ばないようにしながらやや急ぎめで那智大社を目指しました。相変わらず雨は降ったり止んだりしています。

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大門坂入口、石畳が古道っぽい

ここは一番お手軽に古道っぽい道を楽しむことが出来る場所でもあります。翌日の中辺路の準備には丁度良いと思いました。

 

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雨に濡れていて危ない

そして登ること15時20分、那智大社到着。

 

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那智大社の鳥居

振り返ると、霧が山に登って行くような不思議な光景が広がっています。

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霧深い光景が広がる

いそいそと御朱印とお参りを済ませ、隣の青岸渡寺へ、外観は工事してましたが、お参りはできました。

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ここも外観は工事中

そこから今度は下って那智の滝を目指します。途中の三重の塔を拝みつつ、16時10分、飛瀧神社のある那智の滝へと到着。

 

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那智の滝、高い

滝は、白い煙のようにフワーッと落ちているようにも見えましたが、岩に当たるとドドドドと大きな音を立てています。しかも結構高い距離から落ちている、ヒエ―。

何とかお参りと御朱印も書いてもらい、16時35分には見終わることが出来ました。

しかし、けっこう駆け足になってしまったのは反省です。

 

帰りはバスに乗ることにして、これまた50分くらい待って那智駅に戻りました。

さて、電車はそもそもローカル線なので、あまり便がありません。19時25分の出発まで1時間半近く時間がありました。宿のビジネスホテルは素泊まりなので、ついでに晩御飯を食べていくことにしました。それでもまだ15分くらい時間があったので、あたりはけっこうくらかったのですが、歩いて五分くらいの補打洛山寺をサッとお参りして、電車に飛び乗りました。

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補陀洛山寺、日は暮れている

 

電車に乗ると、やはり世界遺産になっているだけあって何人かの外国の人が乗り合わせていました。

 

心なしか皆疲れた顔をしています。夜遅くの電車ということもあるのでしょう。

ちょうど僕の目の前にいた背の高い人に目をやると、たまたま目が合いました。

彼はこちらの服装をみて同じような旅行者だと理解したのでしょう。ニっと笑って右手の親指を立てました。

 

「今日は一日お疲れ様、よく頑張ったね」

 

そんな労いのグッジョブです。

 

僕も思わずフッと笑って一呼吸置いてから、「どこから来たの?」

と聞いてみました。すると彼は僕の隣に来て話始めました。

 

彼はベルギー人で、語学のために香港に留学しているとのことでした。香港から日本に来て、お伊勢参りをして、なんとそのまま歩いてここまで来たそうです!さすが赤い悪魔(サッカーのベルギーチームの異名)、すさまじい体力です。彼はトーマスと名乗りました。ここまでの道中の大変さ、前日の日焼けっぷり、足の腫れっぷりを写メを見せながら話してくれました。

 

いくつに見えるか聞かれたので「27」と応えると、なんと21でした(笑)

 

僕よりもずっと大人びて見えました。ちなみに香港にカワイイ彼女がいます。

 

彼はここに来るまでの話や香港で勉強していることをたくさん話してくれました。

それに中国語も教えてくれました、ベルギー人から英語経由で中国語を習うという、なんともシュールな展開でしたが、やはり言葉を覚えるのはいくつになっても楽しいですね。

 

僕に英語を教えてくれた個人塾の先生は「繰り返しは無限の喜び」という名言を事あるごとに言っていましたが、地道に基礎を反復して繰り返すことは、素朴な楽しさと、言葉が身に沁み込んで来る喜びに満ちていると思います。

 

トーマスくんも僕と同じ紀伊田辺で泊って、翌日はまたそこから歩いて中辺路ルートを通り、熊野本宮に着いてから、さらに小辺路ルートを走破するということでした。

 

ちなみに小辺路は熊野本宮~高野山間の山を2つ超えるルートで、全行程70km弱あります!つまり、彼は100km以上をほぼ徒歩で歩くということになります。

 

思わず「crazy!!」と言いました。

彼もそれについては「yeah」とニヤッとしてましたが。

 

僕は僕で、今の仕事や、コーヒーが好きなこと、神楽をやっていたことなどを話しました。

 

彼は日本語をちょっとだけ話してくれるんですが、「あなたは優しいですね」と言われました。前職や今の仕事の話を受けての発言でした。

 

話もポツポツになり始めるころに、ようやく今日の宿がある紀伊田辺駅に着きました。

時間は22時30分を回っていました。僕はバスで滝尻王子まで行くので、ここで彼とはお別れ。良い旅を!と言ってお別れしました。

 

もし、僕がのんびり旅をしていなければ、もし、電車が遅れていなければ、きっと彼に会うことは無かったのでしょう。2時間以上の退屈なはずの鈍行が、あんなに素敵で楽しいものになるとは思いもよらなかったです。たった一人の気ままな旅をしているからこそのかけがえのなさを、同じように一人で旅をしているトーマスくんから教わった気がします。

 

今日はこの辺で。