vol.46 深炒りに挑戦
こんにちは。
暑いですね!
と、ゆーことで
アイスコーヒーを飲みたくなったので、深炒りに挑戦してきました。
今回のお題豆は、前回お世話になったデキル子、コロンビア・ナリーニョと二、三回目くらいで浅炒りで挑戦したキリマンジャロ(タンザニア)です。
このコロンビア・ナリーニョは、ナリーニョの中でも優秀なナリーニョらしく(語彙
どのレンジの焙煎でも、持ち前の良さを発揮してくれるらしいです。
キリマンジャロは、なんとなく浅炒りのイメージが強かったので、あえてのチョイス。
ここで、スタッフの青山さんからアドバイスが
「コロンビアはどの焙煎の深さでも良いですが、キリマンジャロはあまり深すぎると持ち前の酸味が弱くなってしまうので、あまり深くしない方が、豆に合ってると思います」
なるほどー
ちなみに、今回は副題として「一回目の焙煎を失敗しない」ということも挙げておきます、やっぱりやる以上はロスが少ない方が良いですからね。失敗しても飲むんですけどね…。
さて、ということで、まず初めにどの焙煎レンジでもイケるナリーニョくんから始めることにして、次にキリマンジャロをそれよりも「浅め」に仕上げる、という計画を立てました。賢い。
実際、前に深炒りにチャレンジした時に体験したのですが、2ハゼが始まってからの豆の変化が早くて、ウッカリしているとあっという間にシティ→フルシティ→フレンチへと変わってしまうんです。(フレンチの後はイタリアン)
今回のねらいは、コロンビアはフルシティ~フレンチの間くらい、キリマンジャロはシティ~フルシティ未満くらい、といったイメージで、と青山さんと話しながら決めていきました。
暖機から初めて、豆を投入するまでが一番緊張します。焙煎機の各部のチェックも忘れずにっと。
ふと、隣を見ると、青山さんが5kgの窯で焙煎の作業や、記入をしながら僕の方も観てくれています。す、すごい…。
青山さんのほうの焙煎が終わって、豆を手で掻いて欠点豆をピックしています。
僕:「速いですねー」
青山さん(以下、青):「いやーこれでも遅くなった方です」
僕:「マジですか」
しばらくして温度が目安に上がって、火を落として、投入温度になって豆をザーッと入れます。投入口確認して閉めて!ストップウォッチポチっと押しつつ!同時に再点火して!記入して!
何とか手はず通りに進めました、ホっ。
ガランガランガランと豆が規則正しく鳴っているのがいつも心地いいです。至福。
豆と温度計を交互に観ながら温度の上がり具合や豆の変化をチェックします。
しばらくして温度の上がり具合がダレてきたので、温度を上げてバルブを少し開けました。
豆が良い具合にゴールドに色付いてきて、さらに茶色に進んでしばらくすると、
パチッ、パチッと1ハゼが始まったことを教えてくれます。
今回は2ハゼが終わるかなーくらいからが出すタイミングなので、まだまだですが、ウズウズしてきます。煙の量も多くなってくるので、バルブももう少し開けます。
1ハゼが終わってしばらくすると、小さく細かくパチチ…と音がしてきて、2ハゼの開始を教えてくれます。パジジジジジと小さくたくさんの音が聞こえてきました、線香花火みたいで綺麗な音なんですよね。
で、タイミングを見てからのー、
リリース!ザザー
ホッとしました。
すかさず、2回目の準備に取り掛かります。
青:「次は今のよりも手前で終わるくらいです」
僕:「了解です」
自分の豆にも欠点豆がないか確認してみました。
僕:「あ、石が1つありました、他はちょっとだけ」
青:「この豆はそんなにありませんが、やっぱり丁寧に確認して取った方が良いですね」
そして、1回目同様、緊張しつつタイミングを待ちます。
投入温度になりザザー。
「1回目よりも温度の上がり具合が少し遅いですね」
ここで青山さんから提案が、
「一回目の時を見て分かりますが、途中で温度が下がるのを見越して、火力を少し上げておく、という手もありますよ」
「なるほど」
火力を少し上げて、バルブも少し開けます。
温度上昇の具合を観ながら、上げ過ぎていないか確認、具合は良いみたいです。
しばらくして1ハゼが過ぎ、2ハゼが始まりつつあります、つまりそろそろ出すタイミングです、緊張してきました。
パジジジッパジジジ…
ん?ここか!
僕「出しますね!」
ザザー
青:「良い感じです」
僕:「ありがとうございます」
青:「今回は1回目も失敗せずに終えられて良かったですね」
僕:「ええ、本当に…」(笑)
出す時めちゃくちゃ緊張しました。
そしてピック
僕:「こんなもんですか?」
青:「そんなもんですね、ちなみにこの豆は片方の端が少しくぼんでいるのが特徴です。味見ますか?」
もちろん!と、いうことで
レッツ・カッピング
青:「本来は、現地に行って豆の全ての味を一度にたくさん効率よく見るのがカッピングなので、こういった深炒りでカッピングはあまりしないのですけどね」
僕:「あーそっか、というか、ズズーって吸うとけっこう苦みが吹き付けられますね」
青:「僕もあまり激しくズズーと吸いません」
でも、なかなか良い感じにできているみたいでした。
青:「カッピングでこれくらい味が出ているので、お家に帰ってドリップしてみるともっとおいしく感じると思いますよ」
僕:「マジですかー楽しみです」
ということで、今日はこれにて終了。
この後、話していると、
熊野古道をスニーカーで歩いでボロボロにしたとか、
タイのコーヒーもウマイとか、
パーラー江古田さんのパンがヤバいウマいとか、
鈴木理策さんの熊野の写真の話とか、
近藤さんがバイクに乗っているとかとか、
自分が好きだったものの話が他の人たちからたくさん出てきて、とても幸せな気分になりました。
この日レンテン族の紺色の服を着てたこと、当時江古田の隣の桜台に住んで、写真作品の保存バイトとか実家が写真館だったこと、バイクにも乗っていたこと、
そこにあったことさえすっかり忘れてしまったもののように、日々の生活の中で埋もれていったはずの記憶が、一度に溢れ出てくるようでした。
かつて自分の手に馴染んだものたちが、再び自分の掌にすっぽりと収まってくれるような、そんな手触りの心地よい記憶たちを思い出すことができた、最高の1日になりました。
閉まったきりになってすっかり忘れてしまった宝物を、ただただありのままの自然な振る舞いで引き出してくれたいつか珈琲屋さんのスタッフさんたちに、いつも感謝と尊敬をしています。
今日はこの辺で。