vol.42 浅炒りリベンジ2
こんにちは。
前々回、前回から引き続き、浅炒りに挑戦してきました。
といっても、前回の時点で一応「こんな感じ」の流れにはなっていたのですが、自分の中に明確なイメージがあまりできていないので、その復習と、あとやっぱり最初のミスが気になったので、それをなんとか克服したいと思っての再々挑戦です。
前回までは、青山さんという方に教えてもらいながら焙煎していました。
たくさんの知識と経験、それを同じ目線に立って分かりやすく伝えていただいたり、マズイ場面も素早くフォローを入れていただいたりと、プロのすごさを間近で感じることができました。
今回はシフトの都合で、近藤さんという方に見守られながら焙煎をすることに。
近藤さんは僕が初めてお店に来たときにいた方で、現在は台湾に修行しに行っている方です。
会うのは3カ月ぶりくらいです。台湾はご飯が美味しいという話を聞いてすごくヨダレがでました(笑)、いつか行ってみたいです。
台湾は今、マイクロロースター(小規模の焙煎屋)のメッカになっているみたいで、一軒のすぐ近くに別のロースターがあるくらい「たくさんある」とのことです。
と、そんな話を聞きながら、今回はブラジルと、コロンビアに挑戦。
コロンビアは、なんかイメージがなかったので挑戦しました。
近藤さんが予熱の準備までキチンとやってくださってました。
僕「予熱の上げ方も豆に影響があるんですか?」
近藤さん(以下:近)「ありますね」
あまり急激に上げるのは良くない、とのことで時間を充分とって温めてくださってました。近藤さんは丁度お昼時なので、ご飯食べながら遠目見守りしてくれてます。
そして、一回目は因縁のブラジル、ですが…
やっぱり一回目でミスしちゃいまして(大汗)
今回はコーヒー豆を淹れるホッパー内に30~50g程度の豆が落ち切らずに残ってしまいました。
豆を投入するとその分の熱量が豆に吸収されて温度計の温度が下がっていくのですが、その一番下がったところ(ボトム)が、いつもより高い…これはおかしいと思って見回したら、ありました。
この時点で、既に3分が経過していました。
僕は「ここから取り出せない」と判断して、投入、そこから続行しました。
もう気が気がじゃありません、ここから温度と豆の焼き色を見ながらその差をどうするかすぐ決めなければなりません。
温度は近藤さんの予熱のおかげもあって順調に上がっているのが分かりました。
豆の色も見て、僕はあまり「いじらない」と決めました。
後から聞いたところによると、焼きムラになる可能性があるのと、品質に差が出てしまう可能性を考えると、残りの時間をかけて取り出しながら量が少なくなった分を引いて温度調整する、「売るならそうする」とのことでした。
そうしないと「最悪全部ダメになる」、という話を聞いて冷や汗が出ました。
で、本来出したかったタイミングより後ろの時間で豆を出しました。見た目は良いけど中身はどうだろー、という感じです。
近「プロでも一番初めと終わりは緊張します。もっともミスが起こりやすいタイミングですから」
僕「そうなんですか?」
近「最初は見るべきところや操作することが多いですからね、終わりは豆を出すタイミングの話ですが」
ここで、どうしても悔いが残ると考えて、もう一度ブラジルに挑戦しました。
今回は最初もばっちり、だったのですが、ここでハプニングが。
ザバー
僕「!?!?」
冷却中の豆が、冷却機の取り出し口の留め金が外れて一部出てしまいました。
近「こうしたことが起こらないように、僕は今でも指差し確認しています」
僕「はい、気を付けます(泣)」
片づけは後にして、とりあえず進行中の焙煎に集中しました。
生き残りをバットに移して、今回は出すタイミングも「ここが良さげ」というところを自分で決めて出しました。
近「実際にプロでも競技中はハプニングが起こることがあって、それでもやり直しが利かずに続行しなければならない場合は多いです。1、2秒で判断して、それを修正していかなければなりません」
僕「マジですか」
近「はい、僕の場合もそうでした。突然ガスが切れてしまって。しかも競技は4バッチ(焙煎を4回)30分という進行で、それをこなしながら状況に対応しなければなりません」
僕「めちゃくちゃやること多いじゃないですか!!」
近「ええ、ですから実際にお店で仕事しているときと状況は変わらないか、それより多いくらいです。だから、大会前はあえてお客さんと会話したりしながら練習していました」
てっきり競技だから、焙煎にだけ集中できるのかなと思っていた僕には衝撃的でした。
僕「焙煎するだけでもけっこう気を使うのに、かなりプレッシャーかかりますね」
近「はい、かなり」
という話を聞きながら、本日最後の豆、コロンビアに取りかかりました。
スタートは順調、温度の変化も焙煎の進み具合も、なんだか良い感じです。
豆も綺麗に変化していき、焙煎をしていてとても楽しかったです。
良さげなところで出しました。
そして、カッピング。
結果から言うと、なんだかんだ最初のものもキチンと飲めるものになっていました。
二回目も、浅炒りの中でも浅めの仕上がりですが、今回のお題目をクリアできて良かったです。
丁度カッピングのタイミングで、青山さんと、店主の加藤さんも登場、飲んでいただけました。
最後のコロンビアは「よくできている」という評価をいただけました。
青山さんが「綺麗にできていますね」と言って、加藤さんが笑顔で頷いていたのが印象的でした。
本当に尊敬します、こうして出会えたことを感謝します。
同時に、回を追うごとに課題もわんさか出てきているので緊張感もあります。
この後も青山さんからコロンビアという土地に関すること、そこでできる豆のことなどを丁寧にひとつずつ教えていただきながら、この日の焙煎は終了となりました。
近藤さんは翌日にはまた台湾に戻って修行だそうです。
僕も自分にできることをひとつひとつ確かめながら楽しんで頑張ります。
今日はこの辺で。
vol.41 心地良い静けさ
こんにちは。
いきなりなんですけど、マザー2ってゲームを知ってますか?
あれに出てくる「ストイック・クラブ」っていう会員制の場所があって、入ると部屋の真ん中の少し上に「石」が置かれていて、会員はその「石」についてあれこれ哲学しているっていうちょっと変わった場所なんです。
そこのBGMとか流れている空気感が好きなんですけど、つい先日とあるカフェに入った時にそれっぽい音楽が流れていて「これはもしやソレ的なアレか」ってなったんですよね。
そのお店がこちらです。
「本の読める店」fuzkue、です。
「ストイック・クラブ」みたいな石は置いていないし、メニューも水だけ、なんてことはもちろんないんですが(笑)
それでも、ここの特徴である「本が読める」ために提供される静けさは、なにか似たような空気感があるんです。
「静かにしなければならないのだ!」という緊張感のある静けさとは違って、何というかうまく言えないんですが、「心地良い静けさ」を僕は感じたんです。
で、本当に本が読める環境なんですよね。お店の人ですら出す音は少ないくらいです。
お店の人が書いた文章を読んでいただければ分かるんですが、「本の読めるお店」でいるためのお約束というか、お願いというか、そうした「言葉」ではっきりと決められているからこそ約束された「自由」で、日本特有?の察する空気とはまた違う空気感とはこのことか、と納得しました。
書いた人は「長い」と表現されていた文章なんですが、僕は別に長いと思いませんでした。
むしろ面白く読んでいました。
あれだけの長文を「面白く読める」ようにしたお店の人の文章力がむしろスゴイです。
置いてある本も気になるものが随分あったのですが、今回僕が一番気になったポイントは「鶏ハムサンド」です(笑)。
僕は以前「ハムタサンド」というサンドイッチを発明したんですが、それにも鶏ハムが使われていて、個人的に「ちょっとこれはすごいんじゃないか」くらいに勝手に盛り上がっていたんです。
しかしfuzkueさんの「鶏ハムサンド」のレシピを見て「うわ!すげー!」と思って、これは食べに行かねば、ということで足を運んだ次第です。
で、実際に食べてみてですね、、、
やっぱ、すげー!
て、食べながら「静かに」興奮してました。鶏ハムの可能性に新たな地平が見えました、是非食べてみてほしいです。
おとなもこどもも、おねーさんも
今日はこの辺で。
vol.40 森さんのコーヒー
こんにちは。
いろんなコーヒーを飲んできていろんな豆やいろんな淹れ方を知ったんですが、僕にとって基準になっているのは、やっぱり一番初めに飲んだコーヒーなんです。
で、僕が大学生のときに良く通っていたカフェがあって、その時にはじめて「焙煎屋さんのコーヒー」を飲んだことが興味の大きなきっかけになっています。
といってもそのカフェでは、それまでUCCのコマーシャルコーヒーを使っていたんですが、そこにアルバイトとして入ってきたのが森さんでした。
森さんはコーヒーが好きで、コーヒーに関する知識や技術を働きながらいろんなお店の料理とともに吸収していったようで、最初はランチ営業のみコーヒー重視の「喫茶店」として森さん一人で営業をはじめたんです。
そしてその時に飲んだコーヒーに大きく影響を受けて今の僕がいます。
ちなみにもっとさかのぼると中学生のときに個人塾の先生が淹れてくれたコーヒーが初ドリップコーヒーになります。当時はスターバックスが出来て間もない時で、どうやら先生もそこから豆を買ってきて、気が向いたら生徒に飲ませる、みたいなちょっとアレなことをする先生でした(笑)
話を戻します。
で、森さんのコーヒーを飲んで驚くんです。「こんなの飲んだことない!」って。
ブレンドなんですけど、本当に風が吹いたみたいにサァーっと口のなかでいろんな味がして、そんなに苦くもないし、ほんとうにおいしかったんです。
で、しつこく通っているうちに、どうやったらこれを作れるようになるんだろう?という興味が湧いて、そのうち森さんが店長をすることになって、空いたバイト枠に僕がスタッフの一人として入りました。
当時、和食ダイニングのキッチンスタッフもやっていたのでほとんど休みなしで働いていて、それ自体は苦ではなかったんですが、もともと要領の良いほうではないにも関わらずそんな無茶をしたもんだから、結果体調を崩したり、他にもあんまし要領が悪かったものだから結局いろんな人に迷惑かけたりしてました。
で、結局僕は在籍した一年の間でお客さんにコーヒーを出しても良いよ、とはならなかったんです。技術を習得することに熱中し過ぎて周りが良く見えていなかったなと本当に恥ずかしい限りです。
でも、森さんの技術的な部分の強みは年月が経っていろんな物事を知っていくうちによりはっきりと分かるようになりました。
ハンドドリップというのはお湯を注ぐだけの誰にでもできるシンプルな仕組みですが、実際はお湯の抜け具合や粉の粗さ、注ぎ方で味の印象がとても変わりやすいという特性があります。
こうした部分が自分でコーヒーを淹れるという楽しみにもつながる半面、「一定の味の印象」を維持するのが難しいと言われている理由の一つです。
で、森さんがすごかったのが、そこにブレがほとんどないということと、今まで見てきたハンドドリップの中でも群を抜いて「速い」ということでした。
はっきりとした理由は分かりませんが、これは森さんがファストオーダーのコーヒー屋さんで仕事をした経験があるからなのかもしれません。時間的な早さというのは仕事をする上ですごい強いことだと僕は思います。
もっとも、コーヒーに限らず、全ての業務がとてつもなく早かったですが。
当時焦っていた僕はそこに「並ばなければならない」みたいな変な緊張感で一杯で、家に帰っても全然休めなくて、逆に何一つままならないままでしたが、今考えると、それだけ開きがあるのなら潔く地道にやって自分なりのやり方を確立してれば良かったんだなぁと思います。
でも、その経験がきっかけで鬼のようにコーヒーを飲んだり淹れたりして、結果細かい味の違いが分かるようになったので、無駄にならなくて良かったです。
しかもコーヒーを淹れている時の動作、森さんはめちゃくちゃ綺麗です。
「何でそんな高さからお湯を注いでコントロールできるの?」ていうくらい自在に操ってました(笑)
たぶんですけど、「今・ここ」に対する意識が恐ろしく高かったからだと思います。
迷いが一切ない動きでしたから。
本人は「森さんの」と固有名詞が付いてしまうのが嫌だと言っていましたけれど、どれだけ隠してもにじみ出るのが個性や良さというものではないでしょうか。
ちょっと長くなりましたけれど、たまに思い出して飲みたくなる森さんのコーヒーの話でした。
森さんのコーヒーの味は今でも鮮明に覚えていて、それが僕のコーヒーの目標です。
今日はこの辺で。
vol.39 おいしいってなんだろな
こんにちは。
元々食べることが好きでおいしいものは大好きなんですが、同じ「おいしい」でも僕の中では二つの「おいしい」があると思っています。
ひとつは素材の質の良いもの、いろんな技術がギュッと詰め込まれた完成度の高いもの、です。
外でお金を払って食べるようなものはやはり「美味しい」と思うんです。そこにはお金を払う価値がある、と考えてみなさんもお店なりに行くと思います。
もうひとつは、ちょっとどういう風に言おうか悩むんですが、例えばよそのおウチでご飯を食べさせてもらったり、昔食べたものを思い出して感じる「おいしい」と言えば、何となくしっくりくるような気がしてますが、そんな感じの料理です。
急に思い出して「あれがまた食べたいなー」っていうとき、ありません?
で、だいたいそういう料理って、「固有名詞がない」ものが本当に多いんですよね。
僕の場合、例を挙げれば「骨付き鳥もも肉のクリーム煮」がその代表なんですが、よくよく調べると「チキン・フリカッセ」という料理が出てくるんです。でも実家で食べていた当時はそんなオシャレな名前なんて一切出てこずに、クリスマスだとかの特別な日に「骨付き鶏もも肉のクリーム煮」が出て来たんです。
生クリームが入っている旨みの強い料理なので、僕ら子どもにはもちろん大人気なんですが、料理は好きだけど大雑把に作る傾向のあった母親は、骨付き肉なのに「中まで良く火を通してない」ということがしょっちゅうでした(笑)
でも、僕にとってはそれでも「おいしい」ものでした。
これって僕にとっては、「外で食べる商品ならクレームになるけど、家庭だから許されること」とは少し違うんですよね。
誤解を恐れずにいうと、ある種の「強く記憶に残るもの」だったのかなと、ふと振り返って思います。人の手によって作られたものはなんにせよ、どこかしらそういった強い体験の記憶があるモノだと思います。そしてその強い体験は、必ずその人のどこかで強い影響として作用する。
それってスゴイ素敵なことじゃないですか?
だってどんな些細なものでも、その可能性を持っているんですから。
そんなことを考えてみました。
今日はこのへんで。
vol.38 リベンジ浅炒り
こんにちは。
先週、前回失敗した浅炒りのリベンジに行ってきました。
あ、ちなみに失敗したコーヒーは「どのように失敗しているのか」を体中で実感しながら飲んでいます。
出来立てをカッピングという形で飲むのとは違って、ペーパードリップすると味がクリアになる分、油分などが抽出されにくいため、「よりはっきりと」ダメっぷりが遺憾無く発揮されました。
カッピングで検体として飲んでいたときは少しの量だったので気にならなかったのですが、ドリップで普通の感覚で飲んでしまうと、本当に全身で「これはダメだ!!」と感じてしまいました…。
体が拒否反応を起こしてしまったんですね。
すごい落ち込みました(笑)
で、気を取り直して今回は前回の「なぜ・どのように」失敗したのかを踏まえて再挑戦しに行きました。
具体的には
・熱量が不足しないようにする。
・窯出しのタイミングを早くしすぎないようにする。
以上の2点を再確認しました。
今回も同じ豆、ブラジルとエチオピアです。
結果からいうとブラジルはきちんと飲めるんですが、釜から出すタイミングをもう少し早めにしないと行けなかったです。
もう少し浅い方が狙い通りになったということですね。
それと相変わらず一回目の焙煎で操作をトチってしまい、危うく火を付け忘れるところでした。
スタッフさんがすかさず気づいて点火して、素早く不足分の熱を補うべくガス圧をやや強めに設定して事なきを得たのですが、危うい。
二回目のエチオピアは良い感じに仕上がってました。
それにしても、「お店の味に近づける」ということの難しさ。
ハゼが始まってからの変化が思ったよりも早くてどんどん変わっていくので、少し違うだけで焙煎が進んでしまいます。
というか先ずチョンボしないように気を付けないと…怖い。
ちょうどこの日はラッキーなことに、roast defect (ダメ焙煎)の例を、色んなバリエーションの検体を使ってカッピングしていて、僕も飲ませてもらいましました。
under/over development
baked
scorched
基準になる検体を入れて、5種類
さらに全く別のローストの検体と僕の二つを入れて12種類くらいの検体を飲み比べ。
モノによっては、「なんか後に来る甘さがないのかなー」とかは感じましたが、温度変化によっても味の印象はどんどん変わっていきます。さすがに今の僕には全部の明確な判断はできません。
面白かったのが、仮に欠点だったとしても温度帯によっては特定のフレイバーっぽくなって、それがカッピングする人によっては欠点ではなく「味」として認識されるものもあるのでは、みたいな話が出たことでした。
カッピングも奥が深そうですね。
こんな感じでその日は終えました。
が、やっぱりもうちょっと「そのお店の味」に近づけたいので、また次回同じ豆の浅炒りでチャレンジするかもです。
浅煎りの中でも細かく違いがあるみたいです。
すごいなー。
今日はこの辺で。
vol.37 ココがすごいよスタッフさん(教えるのが上手い人の好例)
こんにちは。
焙煎を数回やってみて感想をば。
大前提としてお店のスタッフさんの教え方が非常に上手い、ということが大きいです。
教え方のうまい人に共通する点は、
1、観察力がある
2、待つことができる(相手を)
3、言葉を絞って話す(一度に複数のダメ出しをしない)
ある程度自由にさせつつ、キチンとこちらの動きを観察して、ポイントを絞ってアドバイスしているというのはアドバイスを受ける側としても良く伝わってくるところで、思考の幅が狭く深いタイプの僕にとっては非常にありがたいです。
さり気ないところでポツポツと試金石のようにアドバイスをしてくれるので、結果として大きな事故もなく、前回の失敗も学びに活きてくるような扱い方をしている辺りが本当に尊敬します。こういう導線の引き方をサラリとできる人、超カッコいいです。
以下いただいた言葉。
傍から見ていてなんか概ね大丈夫そう。
見るべきところを見ている
前のデータを踏まえている
あまり大きく逸れることがない
いきなり色々いじくってない
味は(ざっくり)採れているようだ
とのこと。もちろんプロのラインから見れば至らないことは多々あるでしょうし、仮に仕事としてやる場合、接客など複数の業務も絡んでくるのでその辺も加味すると全然そんな余裕はないです。
それでも、次に繋がる自信にはなりますよね。
5回目で言われて「あ、そうなんだ」と思ったのが
「よくこういうイメージで、みたいなことを言っているけれど、そういうのはあった方が良い、イメージ(理想値)があればそれは必ずできるから」
という言葉でした。
何気に書いていて、今思ったんですが、こういうのって、相手に対してある程度任せるというスタンスが無いと出てこない発想ではないですかね。放任ではなく遠くでもキチンと見てるよというメッセージで、言われる方も安心感があります。
焙煎をする時、というかモノを作ることの良い点は、イメージを具現化できることだと個人的に思います。
珈琲の世界では「味ことば」というカッピング評価のためのキーワードがあるのですが、それよりも自分の持っている味に対するイメージを追って行った方が上達は早い、とのことです。
僕の場合「なんか枇杷酒みたいな揮発性の香りがする」とか言ってました。枇杷酒は飲み物ではなく自家製の薬ですが、要は何かしらの味や香りに関する記憶との紐付けをその人なりにできてればよろしい、ということらしいです。
自分の採ったデータ(プロファイル)とイメージの二つを参考にしてできるというのは、ハマる人はハマる分野だなと思いました。
他の人の出した数字でも、追うとそれに対してのイメージもできるので、何となくどういう風に作ろうとしたのか、みたいな意図が見えるのも面白い点です。
そういう意味ではアーティスティックな何かというより、実践的でデザイン志向な感じがします。
今日はこの辺で。
vol.36 焙煎の経過報告
こんにちは。
随分と間が空いてしまったんですが、継続して焙煎してます。
1回目から3回目まではレクチャーを受けながら、のはずだったのですが、特に危なっかしいところがなかったのか、最低限の焙煎機の使い方を教わってからは安定の放置プレイ気味でした。
でも僕にとってはとてもありがたかったです。たぶんアレダメコレダメだと窮屈に感じてたでしょうから。
安全面に関しては目を配ってもらって、あとはお好きに、聞きたいことがあれば応えるよ、というスタンスでやってもらってました。
うまい具合に自分のモチベーションを確保してもらえたことが本当にありがたかったです。
なので、前の回で採ったデータと出来上がったモノを参考にして次はこうしよう、というサイクルが早い段階でできたので修正しやすく、だいたいこのラインに収まればうまくいきそうだというアタリを早い段階でつけることができました。
その結果、3回目、更にそれを踏まえての4回目は良い具合に出来ていた、という評価でした。
ここまでは何となく自分の好みを基準に焙煎していたのも大きな要因だったのかなと振り返って思います。
で、5回目なんですが、それまでは自分の好みを基準にしていたので、せっかくだからその店の味に近づけたいというつもりで臨んだのですが、結果からいうと焙煎そのものを若干失敗してしまいました。
具体的に言うと、焙煎を終えるタイミングが早かったり、焙煎に時間が掛かり過ぎて味が抜けてしまったり、などです。
一番の大きな原因は前回までのデータを参考にしていなかったこと、です。
焙煎を始める前に、ちらっと見た数字が5キロ釜での数字だったのですが、その数字に引っ張られた上にあんまりモノ観てない状態になってしまいました。あ、モノ観てないのも良くないです。いや正確に言うとモノは観てたけど、それより遅く出すべきだった、です。
結果、あまり焙煎も進んでない状態で窯から出す、という事態に。
思わず「あっ」て言いながら出しました。
このままでは生焼けに近いです、困った。
ここでスタッフさんから提案が
ス:「このままだと飲めないんで、せめて焙煎し直しましょう」
僕:「えっ」
ス:「まったく飲めないよりマシです」
僕:「なるほど」
ということでスタッフさんの指示のもと、指定する温度に上げてダンパーを調整して再投入。秘儀☆ダブル焙煎(実際に意図してやるお店もあるらしいです)
そして目安のところで「出しましょう」と言われて出しました。
見た目はできているけど、味はどうでしょうか。
とりあえず脇に置いて、そのまま2バッチ目。
1回目のような失敗はなく、とりあえず目標のところで窯から出してできました。
せっかくなのでカッピングしてみました。
僕:「なんか足んない」
ス:「んーやっぱり味が抜けてますね」
もう一つの方も
僕:「最初のものよりはできてますね」
ス:「できてますけど、本来持ってる味からするとやはり抜けてますね」
2バッチ目も時間が掛かってしまい、その分味が抜けてしまったようです。
これには焙煎機の大きさの違いと、その焙煎機自体が持っている「癖」の2つが関わっています。
機械いじり好きな人や料理好きな人は何となくイメージしやすいと思うのですが、大きな機械の方が単純にエネルギー効率の良いものって多いですよね。
で、小さいものほど効率がよろしくない。
あと、何かとちょっとした操作でピーキーになりやすい。
僕が練習に使っていた焙煎機は小型のもので、以上のような特性を持っています。
更にロット、というか単に使い込んでいるからなのか、同じマシンでも妙に熱やら何やらが漏れやすいようになっているようで。(店内に同じものが二台あって一台はそうでもないらしい)
つまり、最適解として「味が抜ける前に焙煎し切る!」ということらしいです。
なんというテクニカルなお題なんでしょう。
ともあれ、今回失敗(といっても飲めるものではある)したおかげでできたこと、分かったこともあったので、個人的には良かったです。
その他、書きたいことがまだまだタンマリあるのですが、別エントリにしときます。
今回はこの辺で。