トリしらべぇ。

いろんなところにアンテナを張って、情報の風をキャッチします。

vol.10 画一化と特殊化のはざまで揺れ動く味覚の未来その4(日本の米におけるサードウェイヴ、あるいは特殊化の事例)

こんにちは

 

 さて、前回までの話はコーヒーだったわけですが、今回はちょっと変わって農産物、特に米の話し。

 サードウェーブとは、生産者に対するリスペクトや地産地消的な意味合いが含まれているようなのですが、そもそもコーヒーってほぼ海外の生産物だよねってことで。じゃあ、日本ってそこんとこどうなってんのよと調べてみると、出てくる出てくる。

 殊、米に関してはコーヒーのスペシャルティと同じような動きがあるようです。194ちゃん(いくよちゃん)などはその代表例ではないでしょうか。僕個人としては事前情報として、日本の米のざっくり2大潮流としてコシヒカリササニシキ系統があり、「もち米の遺伝特性を引き継いで、生産高や腹もち、甘みの強さの効率に優れているコシヒカリ系統が多く、主にすし飯などに使われるあっさりとして、冷えても美味しいといわれるササニシキ系統は、稲倒れしやすく生産高的に不利で減少傾向にあるのだ」というようなことをネットや伝聞でイメージとして持っていたわけです。

 

 しかし、ササニシキ系統も負けず劣らず、生産者による創意工夫は日進月歩で進んでおり、粛々と品種改良がなされて立派にブランド化をはたしているわけです、全く知りませんでした。

あ、コシヒカリ系統ながらイセヒカリとかも食べてみたいですね。

 ササニシキのおにぎりを改めて食べてみて「なるほど確かに美味しい!」となっていた僕的にはこれは嬉しい知らせでした、194ちゃんは「ねじりほんにょ」とよばれるスパイラルなカタチをした独特の天日干しのようで、コーヒーでいうところのナチュラル製法(コーヒー豆を天日干しで乾燥させること)みたいなもんかなと思ったりしました。つまり、お値段は高いけど手間がキチンとかかってる分、それに見合ったモノ、ということなんだろうなと。もっともコーヒーの天日干しは独特の風味がありますが、米の天日干しってどうなんでしょうか、そこんとこはまだ調べていないので気になるところです、ていうか食べたいです、アイムハングリィ。

 

 しかもつい先週は、気分に合わせた米のブレンド「feeling」なるものまで登場したのを知って、ついにここまで来たかと思いました。詳しくは知りませんが、多分アイデア的にはあったかもしれないけど、お米マイスターとかサードウェーブなどの下地があって、ようやく出来る空気感になったのかなーと思いました。というかオシャレやなー。

 そもそもブレンド米というと、コーヒーと同じく最初は「なんか安いの混ぜてんでしょ」みたいなイケてない雰囲気があって、というかひょっとすると、一部には実際そうしてるモノもあったりかもしれず、ネガティブなイメージが醸成され不遇な扱いを受けているところに対して、「feeling」は、「そうではなく、コメにも色々な特徴があってそれを活かすのだ」ということをやっているのだろうなと思いました。まさにフィーリングー♪な米ですね。

 

フィーリング言い過ぎてDa Pumpのissaが来そうなんで今日はこの辺で。

vol.9 画一化と特殊化のはざまで揺れ動く味覚の未来その3(コーヒーにおけるサードウェイヴ、あるいは特殊化の事例)

こんにちは

 

片やあるのが特殊化の流れ。

 最近の、というか、これまでもあった流れとして、またある種の揺り戻しの結果、「んなもんダセーよ、俺らに大事なのはセンスっしょ」ということで、己の直感とセンスでもって独自の技術体系を構築した職人肌でアーティスティックなイケてる人々が、むしろそういったインターネットデバイスに頼ることなく、あるいは一時の振り返りのために使うことや、メジャーや温度計を使うことはあっても、基本的には己の腕で日夜コーヒーを淹れるカフェや喫茶店がこれまでと変わらず、あちこちに存在するのが今時点での流れの一つにあります。

 実際問題、コーヒーの味は、おおよその基本を押さえればそこから先はフリーダムなわけで、一口に味といっても抽出の仕方による濃度や水などの影響で千差万別な部分もあるのは事実です。ドリップの話しをして「ワインのデキャンタみたい」と言われたことがありますが、ある種そうした違いでもあるのかなと思います。

 僕にコーヒーの淹れ方を教えてくれた先達曰く、「ドリップは基本的に味を加算するわけではなく減算で、例えば豆そのものが持っている味を10とすると、ドリップによってそれが5しか出ないのか、9.5までで抑えられるのかであり、だからこそ素材を活かそうと考えてキチンと淹れてあげようと考えている」的なことを話したことがありましたが、食材一般にも言えることなので、なるほど得心といったところです。まぁこんなこと言いながら当時は全くうまく淹れられてなくて、お豆さんの死屍累々の屍を築きあげた末に、今は以前より美味しく淹れているのですが。お豆さんごめんなさい、供養に飲みまくって幾度となく胃腸を荒らして口内炎できたのでもう成仏したでしょう、南無三。

 

祈りの時間が来たんで今日はこの辺で。

vol.8 画一化と特殊化のはざまで揺れ動く味覚の未来その2(コーヒーにおけるデータ化、あるいは画一化の事例)

こんにちは

 

 さて、その日本独自の喫茶店文化、今は主に二つの流れがあるように見えます。

ひとつは均質化の流れ。

 新宿某所の豆屋のおやっさんから話しを聞いて衝撃だったことをご紹介。

それは件のブルーボトルコーヒーが、ただのアルバイトをあれだけの数用意し、かつなぜあれほどまでにハンドドリップなのにも関わらず、それほど味がブレがないのか。

 それはドリップの際の湯量、温度、時間などなど、とにかくあらゆる要素をデータ化し、定量化して、その莫大なデータをもとに、味のバランスを決め、再度、ドリップする人にフィードバックさせているという事実があるからです。今や一般向けに濃度計やデータデバイスも既に販売されているので、多分現場かラボで使っているのでしょう。

 なんという、サイバネティクス!もはや攻殻機動隊よろしく、ある種の記憶の外部化をマシンやデータに大きく依存するかたちで、ブルーボトルはあそこまで急速に拡大していったわけです。

 別に機械やデータを利用することは特別ではなく、日本の大手缶コーヒー会社のラボだって、国内の大手ロースターだって、大なり小なり利用してきたわけですが、「ハンドドリップをするアルバイトのに―ちゃん、ねーちゃん」とインターネットデバイスが≒ダイレクトに直結していることが驚異的なわけです。

 将来的にブルーボトルコーヒーは電脳化したサイボーグを雇うのでしょう、恐ろしや。

んでもってそこの従業員のねーちゃんがある日突然「ネットは広大よ」とか言って突然いなくなったりして。

 

僕のゴーストが囁いているんで、今日はこの辺で。

vol.7 画一化と特殊化のはざまで揺れ動く味覚の未来その1(コーヒーにおけるデータ化とサードウェイヴのオリジン)

 こんにちは

 

 なにやら仰々しいタイトルですが、コーヒーのモノの本を読むと、最近はすっかりサードウェイブが流行っているようで。かくいう自分はそのことを良く知らずにコーヒーを淹れていたクチでした。「ファースト、セカンドいつあった?」とか「それエヴァの話し?」みたいな浦島太郎状態でした。

簡単にいうと、生産者に対するリスペクト、地産地消のイマドキ版ということらしいです、ハイ。

 

 近所のカフェの兄ちゃん筋から話を聞いてみるに、どうやらコーヒー業界においては、すっかり有名になった「カフェ・バッハ」に衝撃を受けたブルーボトルコーヒーの創業者が、そのノウハウをアメリカに持ち帰り、逆輸入する形で日本にも広まったということらしいです。いわゆるスペシャルティといわれる産地ごとの豆があり、その特徴を活かした日本型の喫茶店に触発されたわけですね。

 今でこそ、昔ながらの喫茶店は経営者の高齢化や設備の老朽化に伴い「なんだか古臭いな~」と見られるむきもあるようですが、今の流行のオリジンであることを鑑みるに、その価値は決して廃れてしまったものでもなく、単なる懐古主義的なものでもなく、今なお、その味を広め続けています。むしろこれを機会に一度足を運ばれても良いのではないでしょうか。

 その店にコーヒーを焙煎するロースターなんかあれば、まさにオリジンのポイントは高く、行く価値はあると思います。特に、すっかり高くなってしまってなかなか飲めないブルーマウンテンや、独特の酸味が特徴のモカの中でも、モカ・マタリなんかは伝統的な喫茶店ならではだと思います。モカは残留農薬の問題で一時は日本に入ってこなくなりましたが、いつのまにやら(確かだいぶ前に)輸入再開になったようです。

 「ブルマンひとつ」とかツウっぽいじゃないですか。もしくは「キリマンを、酸味が飛ぶくらいローストして、粗引きで」とか言おうものならどこぞの私立探偵かと思われること間違いなし。

 

仕事の依頼がきたんで今日はこの辺で。

vol.6 コーヒーが美味しくなりました

こんにちは

 

 11月に引き続きカフェイベントを開催することとなりました。

 引き続き御役目をいただいたので、これを機に今一度、自分のドリップの技術的な部分をキチンと見直して臨もうと考えました。

 そこで始まる二日ほど前から豆と道具を用意し、ドリップに関するあらゆる情報を一気にかき集め、ガッツリ実験開始しました。大量のコーヒーを試飲したお陰で、開催初日は胃腸が荒れ、舌に口内炎?ができていました。

 

 結果、見事コーヒーが美味しくなりました。

 具体的に言うと、フルーツ系、ロースト系、スパイス系と呼ばれる、酸味と苦味が生み出す微妙な香味やコクが引き出せるようになり、味に立体感が出ました。

 

 実験の感想から言うと、「なんで今までこれがうまく出せなかったんだろう?」というほどあっけないもので、長年掛かった成果が一瞬で出た感想は「疲れた」でした(笑)。

 

 それほどのあまりのあっけなさに一瞬、お空を仰いで「わぁい、お空がきれい」みたいな、夢想の意識になってしまいました。もしくは国破れて山河あり、みたいな茫漠とした景色が一瞬見えてしまいました。

 

 ドリップに限って言えば特殊で技術的なものというより、化学的にいうならコーヒー溶液をどれだけの濃度で、いかに抽出するかであり、雑味を落とさないこと、粉をキチンとお湯に浸しできるだけ暴れないようにすること、などなど、気をつけるべき点に気をつければ、そこから先の淹れ方は自由で、基本的な考え方はそれほど難しいものではないのだと確認することができました。

 

 また、だからこそ、一見するといろいろな淹れ方があって面白いところでもあります。

僕の場合、単に勘所が悪かっただけです。。。

 

 というわけで今のところの所見としては、コーヒーのドリップに限っていえば「下限はあっても上限は無い」というのが僕の結論です。

 

 とはいえ、カフェ時代の店長の「自分で考えろ」ということは、つまりこういうことなんだなと実感する機会となりました。結局人から言われてそのまま覚えたことなんかより、それを聞いて、自分で調べたり試したり、トライ&エラーを繰り返しながら自分なりの感覚を掴んで、出来るようになっていく。これしかないんだなと思い知らされました、少なくとも自分はそういうタイプです。

 

 

 というわけで、プライス的にはお得にお出ししているコーヒーですが、その価値はきっちりお値段以上です。

ぜひ一度飲んで確かめていただきたいと思います。

 

おや、お客様が見えられたようなので今日はこの辺で。

vol.5 ツリー&ツリーさんのオータムイベントでお手伝いしました

こんにちは。

再びツリー&ツリーさんのイベントでお茶を出させていただきました。今回もたくさんの方に来ていただいて、イベントに参加されたり、お茶を飲んでいただけたり、先ずは何よりとても嬉しかったです。

反面、個人的にはもっと美味しく飲んでもらえるにはどのようにドリップすればよいかということも手探りでやっていたので、反省点も多々出てきました。

 

さて、今回のイベントを振り返るとコーヒーだけで12種類出していました。量もけっこうあったのですが、ほとんど無くなりました。

 

ずいぶん色んな種類のお茶やコーヒーをお出ししたので備忘録ということで残していきたいと思います。

海外のコーヒー豆もあるのですが、調べたところSTUMP TOWNさんのものは国内だと渋谷でも取り扱っているお店があるようなので、そちらでお求めになられます。

 

○STUMP TOWN ハウスブレンド

           ホンジュラス

           グァテマラ

           エチオピア

           コスタリカ

○COURIER COFFEE エチオピア ナチュラル

○Coava COFFEE グァテマラ

○さかい珈琲 エチオピア イルガチェフG-1 シェフォ

    マンデリン 中深煎り ピーベリー アルール・バダ

    ブラジル 中深煎り セーハ・ダス・トレス・ハバス農園

○小川珈琲店 有機珈琲 フェアトレードモカブレンド

○コトハコーヒー カフェインレス モカ

 

こうして色々なものを扱ったわけですが、その特徴はそれぞれ。

11月も引き続き淹れる機会がありますので、もっと美味しく淹れられるように頑張ります。

vol.4 コーヒーワークショップに参加してきました。

 こんにちは。

 10月中旬に練馬区江古田にある『喫茶PORT』さんのところにて、コーヒーワークショップに参加しました。今回のテーマは「コーヒーの劣化と保存」ということで、さまざまな保存状態と日数、焙煎度合いのコーヒー豆を飲み比べました。具体的には、保存は冷凍、冷蔵、常温の三種類、経過日数は一か月前、一週間前の二種類に焙煎と豆のままか挽いたものを加え、浅煎り6種、中煎り12種(豆と粉)、深煎り6種の計24検体をフレンチプレスで淹れて試飲しました。

 なんだか美味しんぼの一巻のごとく、山岡士郎みたいな人が突然来て豆腐と水を食べ比べて旨いだマズイだ言うみたいな展開になりやしないかと思ったのですが、単純な当てっことしてはこれがまぁ難しいこと。最初の浅煎りは比較的当たっていたのですが、中々どーして、他は皆さんも似たり寄ったりのようでした。ただ、24検体のうち、恐らく最も味や香りが落ちているであろうものは、皆さん比較的納得されていたようです、僕はひっそりと外していましたが。

 つまり、一番保存状態が悪いであろう常温、日数が一か月経過しており、既に粉になっているものです。皆さんの感想としては、「香りが薄い」、「味が悪い」、「舌に刺さるような感じがする」などなどでした。

 その他、豆の油が一番出やすい深煎りも、苦味という点ではそれほど分かりにくいところもあったものの、劣化により油が酸化したせいか、味が悪くなっているようでした。

 

普段、僕らはコーヒーが旨いだマズイだと言っているわけですが、いざ飲み比べてみるとなぜそうなのか分かることも、反面、分かりにくいこともあったりして面白いです、特に「まずいコーヒーって、じゃあなんだ?」となると、なかなか答えにくいですが、こうして比較すると、なるほど確かにそれなりに皆さん共通して感じるものはあるようでした。